YKTのどっちがいいかな?

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寝苦しい夜に解析を(考察編)

前回のあらすじ

  • 湿度を下げるためにとりあえずゼオライトを導入するも何も変わらなかった

真面目に考察

予告したとおり,前回の敗因をScientificに考察していきたいと思います

取り除くべき水分量

達成したいことは,温度28℃の寝室の湿度を70%から50%程度まで低減させることです。

これを達成するためにはどれくらいの量の水分を取り除く必要があるのか,考えてみましょう。

まず湿度というのは,ざっくりいうと,大気に含まれる水分量が,水が気体として存在できる最大量の何%かという指標です。

この水が気体として存在できる最大量(飽和蒸気圧)は,温度に依存する値で,例えば28℃だと3.78 kPaです。

つまり,室温28℃,湿度70%のとき,水は3.78 × 0.7 = 2.65 kPa分だけ空気中に存在することになります。大気圧は101 kPaですので,空気の2.6%が水分子ということです。

ちなみに,沸騰という現象は,飽和蒸気圧と大気圧が同じになって,液面だけでなく内部からも「気体になったるで〜」とポコポコなる現象でしたね。

つまり水の飽和蒸気圧が101 kPaになるのが100℃というわけです。(100℃としたというのが正しいですが)

さて,我が家の寝室の空気中には2.65 kPa分の水が存在することがわかりましたが,ぶっちゃけこれだとピンときません。

そこで,この量が液体換算でどのくらいなのか考えてみましょう。

まず我が家の寝室の床面積は6畳(= 10.94 m2)ですので,天井の高さを2.4 mとすると,26.2 m3の空間があります。

2.65 kPaが水分ですので,理想気体の状態方程式(懐かしのPV=nRTです)を考えると,

2.65 kPa × 26.2 m3 / (8.314 J/mol.K × 301 K) = 27.7 mol

の水があることになります。これに水の分子量をかけてあげれば

18 g/mol × 27.7 mol = 499 g

となりますね。水1 Lは1 kgっていうのは生活の知恵としてご存知かと思いますので,ちょうど500mLペットボトル一本分の水が寝室の空気中に広がってることになります。こう考えてみると結構多いですね。

今回の命題は湿度70%から50%に下げることですので,

499 g - 499 g / 0.7 * 0.5 = 143 g

の水を除去してやる必要があります。ちょうど紙コップ1杯分くらいですね。

もちろん,これは寝室が閉鎖空間だった場合の話なので,実際はこれよりも多めに水分をとってやらないと湿度50%には保てませんが,一つの目安にはなるでしょう。

ゼオライトの吸着量

さて,取り除くべき水分量がわかりましたが,これに見合うだけのゼオライトが用意されていたのでしょうか。

それを考えるためには,ゼオライト1g当たり何gの水を吸着することができるか,を知る必要があります。

一般的に吸着量は,温度が低いほど,そして湿度(水の圧力)が高いほど,増加する傾向にあります。

そのため,研究現場では,温度一定のもと,圧力の変化に対する吸着量の増減をまとめた吸着等温線と呼ばれるものを使って議論することが多いです。

ゼオライト 水 吸着等温線」で文献調査すればそれなりに出てくると思いますが,今回使っているのは素性のわからない天然ゼオライトですので,ぶっちゃけ自分で測定してしまったほうが早いです。

ということで測定しました(まじかよ)。28℃におけるダイソー根腐れ防止ゼオライトの水吸着等温線です(おそらく世界初のデータだろう)。

これを見ると湿度50~70%のときの吸着量は大体70mg/gです。

今回,ゼオライトは1 kg用意しているので70gの水が取れるはずです。

目標(湿度20%低減)の半分程度ですので,湿度60%くらいになっても良かったのでは?といった感じですが,何がいけなかったのでしょうか?

どう考えても前処理が悪い

はい。これにつきます。

先程述べたとおり,吸着量は低温かつ高圧ほど増加します。

上図の吸着等温線はどう測定しているかというと,ゼオライト200℃に加熱しながら真空下に置くことで,中身をカラッカラに乾かしてから測っているわけです。

一方我が家ではどうだったかというと・・・

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こんなちっさい鍋に大量に入れて,気休め程度に炙るだけ。

これじゃあゼオライト内の水分子は完全に飛びきらないでしょう。

たとえば,ゼオライト1g当たり60mgの水が残った状態で寝室にセットしたとしたら,湿度50~70%ではマックスで約70mg/gまでしか吸着できないわけですから,10mg/g分だけしか除湿効果が期待できないわけです。

なので,この前処理条件をどげんかせんといかんわけですが,そもそも直火だと温度制御むずいんよな〜鍋もちっさいしな〜困ったな〜って感じです。

鶴の一声

nonstyleさん「ホットプレートでよくね?」

・・・Σ(゚Д゚)

確かな手応え

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いや〜この手があったか〜。大量処理にも向いてるし,温度制御もできるし完璧です。せっかくなので小鍋には入らなかった3袋目も追加して全部で1.5 kgにしました。

邪魔者になっていた姉の置き土産が,まさか活躍する日が来るとは。。。

ちなみに蓋をしてみると,水分が出てきているのがよくわかります。

こういうの見るとちょっと楽しくなるよね。

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次回は,前処理条件の検討結果をお伝えできればと思います(願望)。

おわりに

コメントにもありましたが,もうすぐ夏が終わりそうです。

昨日はクーラーなしでも寝れてしまいました。

このまま今年はお蔵入りするかもしれません(笑)